旅をするという事

台湾に向かう空港行きのバスで
偶然ジェフに会った。

ジェフに写真を撮って貰い初めてから
の付き合いはもう何年になるんだろう

やたらいきなり忙しいメールを
送ってくる台湾のFES
“spring scream”に
Genius P.J’sで出演の為
私達は台湾への旅に出かけた。

英語も中国語も出来ない中で
台湾のかなり北から、会場のある
最南端まで乗り換えの多いこの旅は
不安であった。

しかし各地の台湾人の方々に
とても優しくして貰い
大きいトラブルも無く順調に進んでいた。

だが一つ大きな問題を抱えていた。

サポートドラムの祢津くんを
加えた3人でのライブだったのにも
関わらず、自分達のステージが
ドラムが無い疑いが浮上したのだ。

先発している友達のバンドに
確認をした所、やはりステージには
ドラムが無いと。

言葉が上手く話せない中このピンチを
自分は打開出来るのだろうか。。

移動中の数時間色々と関係者に
連絡をしていたが状況は変わらなかった。

出発から12時間。
ホテルがある高雄に到着する時、
先発していた友達のバンド
“リビドーと悪魔”の平くんから
電話があった。

“主催とコンタクトがとれたよ!
後からドラムが必要なのに気づいて
ステージ変更したよって言ってたよ”と。

身体と心の緊張が一気にとけて
ふにゃふにゃになったのを今も覚えてる。
(平くん、そして関係者の方々本当にありがとうございました。)

翌日さらにバスで3時間ほど南下し
私達は台湾最南端の会場に到着した。

気づけば遠くに来たもんだと思った。

会場でもmement森、ZARIGANI$や
台湾のお客さんと沢山話し
良い時間を過ごせた。
初めての台湾ライブなので
お客さんいないかもと思っていたのだが、
ステージ前に多くのお客さんに
集まってもらえた。

chamois,祢津くんとの3人で出来るライブと、
台湾のお客さんに見て貰える幸せを深く感じ
ライブをする事が出来た。
そして日本語のラップと音が
伝わっているのを見てくれてる方々の
表情とリアクションで感じた。

ライブが終わった後も
沢山の方々にCDが欲しいと言って貰えたり
感想を熱く伝えくれて本当に嬉しかった。

その中でも
一つ印象的だった事があった。
会場がどうやら禁煙だったようなのだが、
わからず吸ってしまい警察に
色々されている女の子達がいた。
もちろんショックを受けている
様子がまざまざとわかった。

その子達がライブを見てくれて
“ライブを見て感動して涙が出そうだった。
今日来てよかった”と。
その言葉に誰より力を貰えたのは
自分だった。

テキーラを呑みすぎて
若干二日酔いの日本への帰り道。

自分は移動距離の長いこの旅より遠い所まで
音楽で来てしまったんだなって思った。
音楽との旅を続けてる今、
おれはこの先何時まで出来るんだろうと
考えている。
もしかしたらアーティストとしての
死は近づいてるのかもしれない。
と思ってしまう日も正直ある。

そんな時ふと思うのが
一度だけ音楽を辞めてしまうかもと
相談した時にジェフが言った

“クロダが幸せになるんだったら何だって
大丈夫だよ”って一言だった。

音楽であの日死ななかったから、
自分の音楽は昨日のあの子の幸せに
少しはなれたのかなと思った。

もう少し自分の音楽の旅は
続きそうである。